PMOの役割は多種多様と言われますが、同じように、PMOのパーソナリティ、スタンスも様々だと感じています。たとえば、プロジェクトの内容まで把握しようとするタイプと、そうでないタイプがいると思います。システム開発プロジェクトで言えば、どんなシステムを構築しているか、各チームがどんな内容で苦労しているかなど数値、形式だけでなく、中身まで把握するタイプとしないタイプです。
この2つについては一概にどちらであるべきという訳ではなく、プロジェクト毎のクライアントのニーズ(契約)であったり、PMO体制・工数に依存します。また、PMOのスキル・経験等による部分もあると感じます。工数がないなかで、中身まで把握することは難しいですし、あまり知らない領域に下手に手を出すと、かえって現場を混乱させてしまいます。
ただ、ここで気になるのは姿勢です。契約、スキル、工数負荷とは別の次元として、プロジェクトを理解する気持ちがあるかという部分です。PMOは中身を知らなくていいとか、残業が増えているので、自分の持ち場だけきちんとするというような壁を作る行動があれば気になります。たしかに、プロジェクトは役割分担が必要ではあるのですが、とかく大規模プロジェクトではチームも多く、チーム間での壁を取り払う、隙間を埋めることもPMOの役割であるので(PMO自身が埋める必要はなく、リスクとして検知し、進言する場合もある)、PMOは率先して壁を作らず、幅広く見渡す姿勢、拾う姿勢が必要と思っています。また、PMOとして管理プロセスを導入する際も、広い視野を持ち、現場を知らなければ、定着化まで辿り着きません。
PMOとして、広い視野を持つ、アンテナを高くする方法として、現場と対話する以外に私は以下のことをやっています。(プロジェクト状況・工数の余裕度合・環境によって全てをやるわけではないですが)
- 現場のやりとりメールを把握する(気になるチーム、話題などのメールを追って、深堀する)
※現場のメーリングリストに入れてもらう場合もある - プロジェクトルームで集まって議論していることに聞き耳を立てる、参加する
- プロジェクトで使っている専門技術について、インターネットで調べる
- プロジェクトの企画構想資料から読み込む(途中からプロジェクトへ参画した場合)
- プロジェクト参画時にクライアントに関する本(業界情報含む)を数冊読む
- クライアント先の類似プロジェクトの情報を収集して、文化を掴む
- クライアント情報を新聞、雑誌、インターネット等で収集
※RSSフィードやGoogleアラートなどプッシュ型の情報収集を行うと工数をかけずに収集できます - クライアントの社内ホームページを見る(組織図やニュースなど)
※常駐している場合など、イントラネットが公開されているケース
など
これらのことは、直接的にはPMOタスクには関係ないかもしれませんが(特に後半部分)、たとえば、プロジェクト内のメールにはPM、リーダーの状況、思いなどが表れていたりしますので、PMOタスクを進める上で重要な情報源になります。負荷状況を見極めて、会議体をアレンジしたり、気の利いた振る舞いができると(かゆいところに手が届く)、プロジェクトメンバとの関係性構築、プロジェクト改善に繋がることもあると思います。中身・状況が分かっている人(当事者意識がある人)には相談したくなるという部分もありますので、進捗状況や課題なども収集するのではなく、自然と集まる、集まり易くなる場合もあります。
PMOなのでプロジェクトマネジメント領域に集中することは前提ですが、広い視点でプロジェクトに興味を持って、時間があるときに上記を試してみるのもよいのではないかと思っています。(あくまで、役割分担、工数負荷などとは違う次元での話です)
PMOスキルを伸ばす、教育という観点でも、「PMOはシステム・業務の知識が必要か」という問いなどがありますが、あるに越したことはないと思っています。また、PMOをやりながらでも、上記観点で行動することで、徐々に身につけることができると思っています。(システム開発や業務支援など現場を経験している方が多いと思いますので、今までの経験を生かして、自分が深く経験している分野をベースに視野を広げることができると思います。また、詳しい領域を示すと、苦労話も共有できますし、現場との距離が縮まることがあります)
PMOをやっていて、プロジェクトマネジメント領域を極めようと思い、特化して、マネジメントスキル向上を目指すこともあると思いますが、同じくらいに、現場のプロジェクトに目を向ける姿勢が大切なのかなと感じています。

